PCRプライマーのデザインが適切でないことがPCRによる増幅の失敗、あるいはシングルまたはマルチプレックスPCRアッセイにおける偽陽性および偽陰性が発生する最も大きな要因です。プライマーのデザインの失敗には多くの要因が考えれられますが、主なものとして以下の要因が挙げられます。
- オリゴヌクレオチド結合の平衡定数に影響をあたえることにより、対象配列に結合するプライマーの量を変える効果があるアッセイの実施温度
- オリゴヌクレオチドによる対象配列への結合の安定性を変え得るカチオン(K+, Na+, Mg2+, NH4+)濃度
- 変性剤等のバッファー添加物や粘度。標準的に用いられるバッファー添加物としてはグリセロール、、DMSO、ホルムアルデヒド、TMACやbetaineがありますが、これらすべてがオリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションの熱力学的な安定性に影響を及ぼします。
- オリゴヌクレオチドの長さやアンプリコンのサイズに関係するプライマーやプローブの望ましいアニーリング温度。
- オリゴヌクレオチドのホモおよびヘテロダイマー化に影響を及ぼす2次構造。Visual OMP™は独自の熱力学的パラメータを取り込んだデータベースを利用することで全ての可能な構造の持つエネルギーを計算することが可能なアルゴリズムを使用しています。最安定な、あるいは最安定構造に近い構造は平衡状態で最も多く存在すると予測されます。
- バックボーン構造、糖および塩基部分の修飾のようなオリゴヌクレオチドの修飾が対象配列との結合のアフィニティを増価したり減少させたりする可能性があります。