キメラ抗体は抗体による治療において、元のマウス等由来抗体と比較してHAMA(human
anti-mouse antibody)応答を低減することができます。
げっ歯類抗体の可変領域をヒト抗体の定常領域と組み合わせることにより、キメラ抗体が作製されます。
キメラ抗体では元の結合特異性を保持したまま、一部の配列はヒト抗体の配列に入れ替えられています。
このため、特異性はそのままに、ヒトにおけるエフェクターと相互作用をすることができます。
実施内容
ステージ1:抗体配列の決定
お預かりしたハイブリドーマ等の可変領域配列を増幅し、クローン化した後、配列を解析します。
より確実な結果を得るため、少なくとも5個のクローンのコンセンサス配列を含む完全なレポートが作成されます。
決定された配列情報には、CDR領域に関する注釈が付属します。
必要な場合、質量分析でタンパク質レベルでの抗体配列の確認も可能です。
標準期間:4週間
ステージ2:抗体キメラ化
お預かりした配列またはステージ1で決定された配列をもとに、選択されたヒトIgGアイソタイプの定常領域の配列と組み合わせ、コドン最適化した配列を合成します。
この配列を発現ベクターに組み込み、お届けします。
標準期間:5週間
ステージ3:小スケール一過性発現
キメラ抗体は構築された発現ベクターを用いて少量の発現(100µg程度)、精製後、解析がなされます。
標準ではSDS-PAGE、BCA分析および抗原が入手可能な場合はELISAで評価されます。
以下のような様々なツールを用いてより完全な抗体の特性解析を行うことも可能です。
- エンドトキシン分析
- FACS解析
- IEFゲル分析
- Biacore解析
- ESI-MS
- 15 AA N末端配列解析
- 糖鎖プロファイリング(CE-LIF、RP-HPLC、SE-HPLC)
- ADCCアッセイ
- CDCアッセイ
- エピトープマッピング
標準期間:6週間
ステージ4:大スケール発現(オプション)
選択されたキメラ抗体は、相当する各コンストラクトを用いて大スケールの発現(10-20m程度)、プロテインAによる精製後、解析が実施されます。標準ではSDS-PAGE、BCA分析および抗原が入手可能な場合はELISAで評価されます。
標準期間:6週間
ステージ5:安定発現株構築
ステージ3で選択されたキメラ抗体を産生する安定発現株は、確立されたDHFR増幅システムを利用して樹立されます。
第1段階ではテストと特性解析のための研究グレードの株が作製されます。
抗体産生が確認された後、高産生株の樹立のために最適化され、cGMPスケールアップのためのバリデーションが行われます。
無血清培地での生産のための訓化も可能です。
標準期間:18-24週間