FCSとFCCSによるスクリーニング

個々の分子の挙動や性質を測定したい場合、あるいは対象とする物質の密度・濃度が非常に低く個々の分子の挙動が全体の振る舞いに反映されてしまう結果、一般的な方法で行った測定結果の再現性が悪い場合、単一分子計測は非常に有力な方法です。



スクリーニングプラットフォーム:GPCR

GPCRやRKTのような「難しい」ターゲットは細胞表面に存在するために魅力的な薬剤のターゲットでもあります。 しかしながら膜タンパク質であるが故に精製時に不安定であり、アッセイ系の構築は困難を極めます。Intana社では自社でRTKおよびGPCRアッセイを確立し、お客様に安価かつ迅速にご利用頂けるプラットフォームをご用意致しました。 同社のプラットフォームでは、ラベルなしリガンドとGPCR等の相互作用に関するアフィニティと速度定数を測定することが可能です。このアッセイではでは単分散のGPCRの相互作用を観測するため、最適化可溶化条件を確立し使用しています。

アッセイはCXCR4, CXCR7, CCK2, NTSR1,ADRB2, NOP, ETA, KOR, キメラMOR, AT1, SST2, APJおよびNK1に関して確立されています。前記リストにないGPCRに関しても、カスタムプロジェクトとしてアッセイを確立し、測定を実施致します。

スクリーニングプラットフォーム:キナーゼと受容体

チロシンキナーゼ受容体(RTK)

GPCRと同様にRTKも魅力的な薬剤ターゲットでありながら同時に精製時に不安定であり、アッセイ系の構築は困難です。

Intana社ではRTKに関してもアッセイを確立し、お客様に安価かつ迅速にご利用頂けるプラットフォームをご用意致しました。最新のアッセイリストは お問い合わせ ください。

ヒトキナーゼ

Intana社では520種類以上のヒトキナーゼドメインに基づくキナーゼプロファイリングプラットフォームを確立しました。このプラットフォームによって、細胞溶解液中での阻害剤の阻害能や相互作用の特異性を評価することが可能であり、市場で入手可能な試薬を基にしたアッセイ系と比較して優位性を有します。

Intana社では対象化合物とターゲットのダブル蛍光ラベルによる、520種類のキナーゼドメインに対する化合物の結合能スキャンを実施することが可能です。パラメータはアフィニティのみでなく、速度論的パラメータも可能です。

また、同社では288種類のキナーゼドメインに関して、ラベル済みターゲットとラベル済みプローブ化合物のセットを保有しており、ライブラリを構成するターゲットに対する対象化合物のラベルフリーでの結合定数や速度論的パラメータの測定が可能です。

カスタムスクリーニング:蛍光ラベルの利用

結合アッセイを確立するためにはターゲットとなるタンパク質に対して結合する低分子化合物が必須となります。通常の場合、ターゲットタンパク質は蛍光タンパク質との融合タンパク質として適当な細胞株で発現されます。

低分子はターゲットに融合している蛍光タンパク質とクロストークを生じない蛍光色素と共有結合で結合します。ターゲットタンパク質との融合が完全であることの確認と発現量の確認は細胞溶解液のWBによって実施し、ラベルされた化合物の確認は質量分析によって行います。次にそれぞれのパートナーの光物理学的なパラメータは測定条件の最適化のために個別に分析されます。

アフィニティの算出

結合曲線を得るためには、一定の濃度のターゲットに対してラベル済み化合物の濃度を例えば1 nMから500 nMまで変化させて滴定を行います。自己および交差相関分析によって遊離および結合状態の相互作用分子の濃度が測定できるだけでなく、ラベルされた化合物とターゲットが形成する複合体の濃度を測定することも可能であり、解離定数が容易に計算可能です。

さらに、非特異的に結合している化合物も容易に評価できます。この段階で、ラベル済み化合物のターゲットに対する結合の速度論的パラメータも測定可能です。

速度定数の算出

速度定数はアフィニティに劣らず重要な定数です。同様のアフィニティを示しながらも異なる速度を示す化合物は生理的環境では異なる振る舞いを示します。

例えば高いアフィニティを示しながらも遅い結合速度を示す化合物は長時間にわたってターゲットに結合し、細胞外への排出・分解・修飾機構の影響を受けません。このような化合物を評価するためのアッセイは長時間にわたり安定である必要があります。このことは精製タンパク質を使用した試験系では大きなチャレンジを伴うものとなります。

Intana社の測定系は生理的条件下で実施されるため、遅く結合する分子に関しても速度定数を評価することが可能です。速度定数を評価するためには、様々なラベル済み化合物の濃度における時間分解測定が必要です。この測定によって様々な速度定数に対応する結合曲線が得られます。

ラベル済み化合物の濃度に対して見かけ上の速度定数をプロットすることにより得られる直線を利用すると、その傾きから結合速度のが、y軸との交点から解離速度の速度定数が算出されます。

カスタムスクリーニング:ラベルなしでの測定

競合アッセイによるアフィニティの算出

2番目の方法では、ラベルなしでの競合アッセイを実施します。両方がラベルされている複合体を段階的にラベルなし化合物で希釈し、この化合物の濃度に対して交差相関をプロットして滴定を行います。得られた減衰曲線からIC50の値が導出できます。

Cheng-Prusoff式を利用することによってラベルなし化合物のターゲットに対するアフィニティが決定されます。また、この段階でラベルなし化合物のターゲットに対する結合の速度論的パラメータも決定されます。

競合アッセイによる速度定数の算出

Motulsky and Mahanのモデルを発展させることによって、ラベルなし化合物の結合および解離速度定数を決定するための独自のソフトウェアを開発しました。

この方法ではターゲットやラベル済み化合物が共存する条件下でラベルなし化合物の速度定数が計算されます。この方法で導出された速度定数から導かれたアフィニティは平衡条件での実験から導かれた結果とよく符合します。さらに、Intana社では50時間以上にわたる長い反応の速度を測定するため、迅速混合による希釈を確立しました。