c-Myc抗体交差反応性

抗c-Myc抗体の交差反応性試験

PEPperCHIP™ ヒトエピトームマイクロアレイは29,127種類の線形ヒトB細胞エピトープを網羅したマイクロアレイです。このマイクロアレイを用い、抗c-Mycヒトモノクローナル抗体(chi9E10)の交差反応性試験が実施されました。コントロール実験として、2次抗体で最初に処理を行ったマイクロアレイでは蛍光シグナルは観測されませんでしたが、抗c-Myc抗体とインキュベーション後に2次抗体で処理を行った結果、複数のスポットが検出されました。


抗ヒトIgG2次抗体によるコントロール実験(左) と抗c-Myc抗体とインキュベーション後に2次抗体で染色した結果(右)。抗c-Myc抗体が明確にヒトエピトームマイクロアレイに含まれる配列と相互作用していることがわかります。緑色のフレーム部分は抗HAコントロールペプチド抗体を示しています。


データ解析の結果、40種類のエピトープとの相互作用が確認され、スポットのシグナル強度の順に整理されました。主なエピトープが由来していたのは、nucleoprotein of measles virus strain Edmonston、Plasmodium falciparum由来erythrocyte membrane-associated giant protein antigen 332、B 型肝炎ウイルスのpolymerase、Mycobacterium tuberculosisのtruncated Is1560 transposaseでした。ヒトエピトープ中で最も強い交差反応性はコンセンサス配列LAKILVPEを持つdihydrolipoamide S-acetyltransferaseでした。


抗c-Mycヒトモノクローナル抗体の交差反応性試験に関する上位40 配列。スポット強度の順に並べられています。2列目は蛍光強度の結果を示し、3 列目はImmune Epitope Databaseのエントリーにリンクしています。


次に上位10種類のペプチドがMEME ツールを使用して解析され、共通のモチーフが探索されました。解析の結果、1 種類のコンセンサスモチーフ1X-L-V-S/A/P-E5が同定されました。モチーフ中の2Lは結合に必須であり、3Vおよび5Eは高度に保存された配列であると考えられました。モチーフ中の最初の残基は比較的多様であり、4残基目はS、AまたはPを志向すると考えられます。

この解析から得られたコンセンサスモチーフは次にFIMOツールに取り込まれ、blastサーチによってヒトのタンパク質データベース中の配列が検索されました。この結果、727種類のタンパク質が候補として同定されました。結果はp値に基づいてソートされました。これは交差反応性を持つ可能性があるタンパク質に関する反応の確率に基づく順番とも考えられます。

上位の交差反応性タンパク質の候補はHLVSE配列に基づいており、DNA repair protein XRCC4、putative uncharacterized protein BVES-AS1、transmembrane protein 109 やcholine O-acetyltransferaseが含まれています。予想されるようにMyc proto-oncogene protein に対する反応性も予測されました。


上位10種類の配列に関するMIMEによる解析の結果(左)。文字の縦方向の長さが長いほど保存的であり、置換に伴う結合性への影響が大きいことを示す。
右の表はSwissprot中のFIMOによる探索結果。表では上位30種類が示されています。モチーフはHLVSEおよびRLVSEに基づいています。


解析結果で示されたタンパク質の中でdihydrolipoamide S-acetyltransferase由来のペプチドのエピトープマッピングが実施され、LAKILVPEをモチーフとして含むペプチドの交差反応性が示されました。