自己抗体探索 (sengenics社)

sengenics社のフォーマットを用いた自己抗体探索アプリケーションのご紹介です。



外来の抗原分子に対して抗体を産生することに加え、様々な疾患において自己抗原に対する抗体(自己抗体)が免疫系の作用によって産生されることが知られています。

自己抗体はその特性によって疾病の優れたインジケーターとなり、その検出は多くのin vitro検査の原理となっています。自己抗体の産生は、抗原の過剰な発現、変異、ダメージを受けた組織からの放出、ミスフォールドまたは誤って提示されることによって免疫系に認識されることによって生じると考えられています。

その他の血清中のマーカーとは異なり、自己抗体は安定であり、疾患特異的であり、容易に血清から精製可能でありまた長年にわたってバリデーションを受けた2次抗体によって検出可能です。

また、免疫系によって非常に大きく増幅されるため、血清中に大量に存在し容易に測定可能であるため、疾病の早期診断に理想的と言えます。

Sengenics社のImmunomeタンパク質アレイはがんや自己免疫疾患、神経変性疾患や感染症等の疾病マーカーや予測、予後マーカーの探索において成功裏に使用されています。下図に自己抗体アッセイの概略が示されています。

結果はマイクロアレイスキャナーを使用し(解像度 10μm)、RFUの値として測定されます。

ケーススタディ

ミニチュア版ImmunomeアレイCT100+アレイを用いた前立腺がんの自己抗体バイオマーカー探索 (Adeola, H, et. al., 2016)

この研究では123種類のがん抗原の役割を解明するため、前立腺がん20ドナー、良性前立腺過形成32ドナーおよび健常人コントロール15ドナー由来の血液サンプルを用い、Immunomeマイクロアレイで解析を行いました。

  • 結果: 定量的な解析を行った結果、4種類の抗原GAGE1, ROPN1, SPANXA1およびPRKCZに対する抗体の力価が良性前立腺過形成より高いことが判明しました。

神経変性疾患の研究 (Suwarnalata, G, et. al., 2016)

H. Pylori菌陽性はしばしばパーキンソン病において深刻な運動障害と同時に観察されることが知られています。この原因を探るべく、H. Pylori陽性のパーキンソン病30ドナー、年齢と性別が同一のH. Pylori陰性のパーキンソン病30ドナーのサンプルが比較されました。

  • 結果:Sengenics penetrance fold change法による定量的な解析を行った結果、13種類の自己抗体が候補として同定されました。陽性ドナー検体で力価の上昇がみられた自己抗体の抗原のうち、NFIA, PDGFBおよびeIFA3が、神経機能に関連する抗原として同定されました。

感染症における自己抗体のプロファイリング (Liew, J., et. al.,2015)

11ドナー由来の血清サンプルが収集され、PCRと顕微鏡観察によってマラリアの感染が確認されました。年齢と性別が同一の健常人から収集された11ドナー分のサンプルをコントロールとして使用しました。

  • 結果: 感染時にホストで引き起こされる炎症の過程に含まれる24種類の抗原が、自己抗体と高い反応性を示すことが判明しました。これらの抗原は急性または非劇症のマラリアに関するバイオマーカーまたは劇症のマラリアの予測マーカーの候補として考えられました。