タンパク質マイクロアレイを用いた薬剤の応答と毒性評価

sengenics社のフォーマットを用いた薬剤応答と毒性評価アプリケーションのご紹介です。



薬剤の有効性は様々な要因のために患者ごとに大きくばらつきます。患者の中にはその遺伝的な要因や免疫系の状態によって、薬剤による免疫系への干渉が起こる場合があります。完全な機能を保持したタンパク質をアレイ化している、Immunomeプラットフォームを利用した、自己抗体を指標とした免疫毒性プロファイリングは以下のような用途で利用することが可能です。

  • 副作用の重篤度の予測
  • 適切な投与量の予測・計算
  • 併剤の際の組み合わせの選択
  • 薬剤に対する応答の予測

この患者自己抗体のプロファイルを利用した方法は薬剤の有効性や副作用あるいは投与量の検討に際して重要な情報を与えます。

  • Cancer Immunotherapy
  • Checkpoint Inhibitor
  • Small Molecular Binding
  • Off Target Drug Effects

ケーススタディ

チェックポイント阻害剤(Beeton-Kempen N, et. al., 2014)

  • 試験デザイン: この試験はNY-ESO-1ワクチンに対する、46人のステージIIIまたはIVの転移性黒色腫患者での応答を調べることを目的としています。患者血清がワクチン投与前(Day 0)およびワクチン投与後に再度ブースターを投与された2週間後(Day54やDay 70)に回収されました。回収されたメラノーマ患者血清中の自己抗体のプロファイルが、健常人のものと比較されました。
  • 結果: 予想通り、NY-ESO-1ワクチン由来の抗原は最も大きい自己抗体との結合を示し、患者の約61%が反応しました。それに加えてCTAG2(LAGE-1/NY-ESO-2としても知られています。)に対する自己抗体もNY-ESO-1と同程度の患者で反応がみられました。

治療全体を通じて、時間の経過とともにNY-ESO-1およびCTAG2に対する自己抗体の応答は増強されていました。

  • 結論: 何人かの患者では、ワクチンの接種後タイターが明確に上昇しており、これらの自己抗体はワクチンに対する反応をモニターするためのマーカーやがんの進行を見るためのバイオマーカーとして有用である可能性が示唆されました。

薬剤のオフターゲット効果(Blackburn JM & Shoko A, 2011)

タンパク質キナーゼはヒトゲノム中にコードされているタンパク質のスーパーファミリー中で最大の酵素スーパーファミリーです。

タンパク質キナーゼの活性が変化することは、疾病の進行に大きな役割を果たします。このことから、薬剤のヒトタンパク質キナーゼを使用した評価方法は以下のような目的で広く使用されてきました。

  • 阻害剤のスクリーニング
  • 阻害剤の選択性の確認
  • リン酸化阻害に必要な阻害剤濃度の予測
  • 試験のデザイン: 150種類の正しい立体構造を持ったヒトタンパク質キナーゼを低分子阻害剤の存在下および非存在下で蛍光ラベルされた汎用キナーゼ基質と反応させ、そのリガンドの結合がモニターされました。阻害剤としてはIressa(高い特異性を持ったキナーゼ阻害剤)およびStaurosporine(幅広いキナーゼを阻害する阻害剤)が使用されました。

  • 結論: Iressaに多くの非特異的なオフターゲット効果があることが示されました。この薬剤は約10%の肺がん患者でしか有効でなく、EGFRのチロシンキナーゼドメインの変異と薬剤の有効性に相関があることが示唆されています。