PEGに代わる修飾ポリマーとしてのポリアミノ酸
PEGの問題点が明らかになる中、代替となるポリマーが開発されており、そのほとんどがポリアミノ酸です。繰り返し単位はアミド結合で結合されており、これは元々生体内に存在するペプチドおよびタンパク質と似た構造であるため、プロテアーゼはこれらのポリマーを加水分解することができます。したがって、PEGよりも大きな分子量のポリマーを用いることや、投薬量を多くすることも可能になります。
PEG、PAS、PSRといったポリマーはすべて直鎖状のポリマーとなっており、別の化合物との結合は末端においてのみ可能です。したがって、このタイプのポリマーは抗体や治療用タンパク質との結合に用いられます。PASやPSRはPEGの生分解性を持たないという欠点を克服しており、さらにPASに関しては遺伝子組み換え技術を用い、 分子量分散がないものを合成可能 となっています。速やかに体内で分解されるとともに、単分散ゆえに容易に分析・同定が可能となっています。しかし化学的にPASを付与することは難しく、ポリマーを付与したバイオ医薬品を遺伝子組み換えにより合成する必要があるため、応用範囲が限定されます。
PSRはほかのポリマーと同様、分子量のばらつきを持ちますが、ペプトイドであり、PASと同様プロテアーゼによって加水分解を受けます。 すでに様々な種類の官能基を持つPSRをラインナップ しており、ご要望に応じてその他の官能基のご用意も可能です。
ポリアミノ酸においては、構成するモノマーの側鎖を利用して結合が可能なため、低分子医薬をポリマー医薬に活用することが可能です。それぞれ種類が異なる薬剤や診断薬を導入できるため、層別化医療および個別化医療につながる多剤併用治療が可能となります。
参考文献
▷ Targeting potential and anti-HIV activity of lamivudine loaded mannosylated poly (propyleneimine) dendrimer; T. Dutta and N. K. Jain; Biochim Biophys Acta 2007; 1770: 681-686. doi:10.1016/j. bbagen.2006.12.007
▷Targeting of efavirenz loaded tuftsin conjugated poly(propyleneimine) dendrimers to HIV infected macrophages in vitro; T. Dutta, M. Garg and N. K. Jain; Eur J Pharm Sci 2008; 34: 181-189. doi:10.1016/j. ejps.2008.04.002
▷ Poly (propyleneimine) dendrimer based nanocontainers for targeting of efavirenz to human monocytes/macrophages in vitro; T. Dutta, H.B. Agashe, M. Garg, P. Balasubramanium, M. Kabra and N. K. Jain; J Drug Target 2007; 15: 89-98. doi:10.1080⁄10611860600965914
▷ External Electrostatic Interaction versus Internal Encapsulation between Cationic Dendrimers and Negatively Charged Drugs: Which Contributes More to Solubility Enhancement of the Drugs?; Y. Cheng, Q. Wu, Y. Li and T. Xu; J Phys Chem B 2008; 112: 8884-8890. doi:10.1021/jp801742t
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