リコンビナントモノクローナル抗体
リコンビナントモノクローナル抗体(rmAbs)は再現性に優れ、改変が可能であり、従来からのハイブリドーマによって産生された抗体の代替となります。抗体の配列をDNAシークエンシングや de novo タンパク質シークエンシングによって同定することで、いつでも同じ抗体を生産することが可能になります。
モノクローナル抗体は何十年にわたり様々な分野で使用されてきました。これらはバイオメディカル研究ツールや診断薬の重要な要素となっています。
従来、モノクローナル抗体はハイブリドーマで生産されていましたが、この方法で生産された抗体には様々な問題が存在しました。最も重大な問題はコンタミネーションであり、例えば抗体作製時に抗原を免疫したマウスがウイルスを保持している可能性があります。ハイブリドーマ中でもウイルスが検出された例が多々あります。このため、抗体がウイルスフリーで生産されることの保証はありません。
第2の問題は一貫性と再現性です。凍結保存状態から解凍した後、ハイブリドーマは死滅したり、抗体遺伝子が消失したり、成長が止まる場合があります。全く同じ抗原を使用し、再度別のハイブリドーマを樹立する際、ほとんどの場合に得られた細胞株は以前とは異なる抗体を分泌します。
3番目の問題はハイブリドーマの樹立に時間がかかることです。この理由の大部分は抗原の注射後、動物体内で免疫応答が起こるまでに必要な時間が長いためです。このため、初回の抗原注射から抗体の生産までにかかる時間は3~6か月程度です。
リコンビナントモノクローナル抗体はこれらの問題の大部分を解決します。多くの科学者から構成されるグループがリコンビナントモノクローナル抗体の再現性を利用し、研究の標準化を進めることを主張しています。ハイブリドーマによる生産と比較すると、リコンビナントモノクローナル抗体の作製には様々な利点があります。
利点
- 高い再現性:化学合成される抗体遺伝子とコントロールされた培養プロセスにより、低いバッチ間差を実現します。
- 高い純度:リコンビナントモノクローナル抗体は成分を規定した無血清培地で、哺乳類細胞を用いて生産可能です。これにより、血清成分によるコンタミネーションを防止し、98%以上の純度を達成します。
- 生産時間の短縮:ハイブリドーマを用いた場合の3~6か月に対して6~8週間で生産可能です。
- 改変可能性:アイソタイプやサブクラスの変換、種の変更およびフォーマット変換が可能です。
- 動物福祉:リコンビナントモノクローナル抗体作製プロセスは実験動物を使用しないため、動物の福祉に関する懸念がなく、動物の世話にかかる費用を低減することも可能です。