Class II
HLAアレルへのペプチドの結合を予測するためのアルゴリズムは多々存在しますが、実際の結合データとの相関は必ずしも良くはありません。
ProImmune REVEAL Class II
HLAペプチド結合アッセイはハイスループットで両者の結合性を測定することにより、in
silico評価で生じうる擬陽性・擬陰性により引き起こされる問題を取り除くことができます。
ProImmune REVEAL Class II
HLAペプチド結合・安定性アッセイはハイスループットで候補エピトープを同定するために開発されました。
対象となるタンパク質の配列をもとにオーバーラップがあるペプチドから構成されるライブラリを作成します。
このライブラリを用いてペプチドのHLA分子に対する結合をin
vitroで評価します。
ProImmuneでは56ものHLA DR,
DQおよびDPアレルへの結合を評価することが可能です。
また、このアッセイでは結合のみでなく、安定性を評価するための速度論的測定を組み合わせた形にカスタマイズすることも可能です。
このアッセイを用いることにより、正確な結合活性を持つペプチド配列を同定することが可能であり、また配列に関するHLA型拘束についても情報を得ることができます。
これにより、エピトープのランキングや配列改変に関する有益な情報を得ることができます。
多くのclass
IIアレルに結合する配列は、多数の患者に対して免疫原性を示す可能性が高いと言えます。
ProImmune REVEAL Class II迅速エピトープ探索システム
ProImmune社のClass IIアレルHLAペプチド結合アッセイはタンパク質中のCD4+
T細胞エピトープを予測するための強力な無細胞in vitroアッセイです。
このアッセイではタンパク質配列中で最も免疫原性が高いペプチドを同定することが可能であり、抗体医薬等の生物学的製剤の開発や免疫療法の開発のために重要な役割を果たします。
生物学的製剤の開発に利用する場合、中和抗体の生成や副作用を防止するために行われるT細胞エピトープの除去に関する改変戦略の策定などに役立ちます。
HLAペプチド結合アッセイをonおよびoff
rateの測定アッセイや安定性測定アッセイと組み合わせることで、結合特性に関するより詳細な情報を得ることができます。
この技術はがん、感染症、自己免疫疾患や移植などの様々な疾患等に利用可能であり、時間的な制限がある治療プログラムに最適です。
従来の方法と異なり、このアッセイでは貴重な患者由来サンプルを消費することがなく、また各抗原に対するHLA型拘束を単一ステップで決定することができます。
これにより、エピトープ探索に必要となる時間と費用を大きく削減することができます。
第1ステップ:PEPscreen カスタムペプチドライブラリ合成
HLAペプチド結合アッセイにはペプチドの合成が必要です。
対象となるタンパク質の配列からオーバーラップ部分を持つペプチドのライブラリが生成されます。
ライブラリはハイスループット合成プラットフォームを利用して約10-15営業日で合成されます。
ペプチドの配列長は15残基であり、各ペプチドは0.5-2mg程度合成されます。
全てのペプチドは質量分析により品質チェックが行われます。
第2ステップ:ProImmune REVEAL Class II ペプチド結合アッセイ
このハイスループットアッセイでは、各候補ペプチドの1つ以上のClass II
HLAアレルに結合する能力を陽性対照および中程度の結合活性を持つ対照試料と比較した結果が得られます。
結合性の評価は結合により形成されるHLA-ペプチド複合体の取る天然構造の有無を立体構造特異的な抗体で検出することにより行われます。
現在56のDR, DQおよびDPアレルが結合アッセイに利用可能です。
表1. 結合アッセイに利用可能なアレル
Name |
Allele |
Name |
Allele |
Name |
Allele |
R01 |
DRA1*01:01 + DRB1*01:01 |
R32 |
DRA1*01:01 + DRB1*15:02 |
P01 |
DPA1*01:03 + DPB1*01:01 |
R02 |
DRA1*01:01 + DRB1*15:01 |
R33 |
DRA1*01:01 + DRB1*15:03 |
P02 |
DPA1*01:03 + DPB1*02:01 |
R03 |
DRA1*01:01 + DRB1*03:01 |
R34 |
DRA1*01:01 + DRB1*16:01 |
P03 |
DPA1*01:03 + DPB1*03:01 |
R04 |
DRA1*01:01 + DRB1*04:01 |
R35 |
DRA1*01:01 + DRB1*16:02 |
P04 |
DPA1*01:03 + DPB1*04:01 |
R05 |
DRA1*01:01 + DRB1*11:01 |
R36 |
DRA1*01:01 + DRB3*02:02 |
P05 |
DPA1*01:03 + DPB1*04:02 |
R06 |
DRA1*01:01 + DRB1*13:01 |
R37 |
DRA1*01:01 + DRB3*03:01 |
P06 |
DPA1*01:03 + DPB1*05:01 |
R07 |
DRA1*01:01 + DRB1*07:01 |
R38 |
DRA1*01:01 + DRB5*01:01 |
P14 |
DPA1*02:01 + DPB1*01:01 |
R08 |
DRA1*01:01 + DRB1*01:02 |
Q01 |
DQA1*01:01 + DQB1*05:01 |
P15 |
DPA1*02:01 + DPB1*02:01 |
R11 |
DRA1*01:01 + DRB1*04:02 |
Q02 |
DQA1*05:01 + DQB1*02:01 |
P16 |
DPA1*02:01 + DPB1*03:01 |
R13 |
DRA1*01:01 + DRB1*04;04 |
Q03 |
DQA1*01:02 + DQB1*05:02 |
P17 |
DPA1*02:01 + DPB1*04:01 |
R14 |
DRA1*01:01 + DRB1*04:05 |
Q06 |
DQA1*01:02 + DQB1*06:02 |
P18 |
DPA1*02:01 + DPB1*04:02 |
R15 |
DRA1*01:01 + DRB1*04:07 |
Q08 |
DQA1*03:01 + DQB1*03:02 |
P19 |
DPA1*02:01 + DPB1*05:01 |
R16 |
DRA1*01:01 + DRB1*04:08 |
Q09 |
DQA1*01:02 + DQB1*06:04 |
P20 |
DPA1*02:01 + DPB1*06:01 |
R19 |
DRA1*01:01 + DRB1*08:04 |
Q10 |
DQA1*05:01 + DQB1*03:01 |
P21 |
DPA1*02:01 + DPB1*09:01 |
R20 |
DRA1*01:01 + DRB1*09:01 |
Q11 |
DQA1*02:01 + DQB1*02:02 |
P22 |
DPA1*02:01 + DPB1*11:01 |
R21 |
DRA1*01:01 + DRB1*10:01 |
Q12 |
DQA1*03:01 + DQB1*03:01 |
P23 |
DPA1*02:01 + DPB1*13:01 |
R22 |
DRA1*01:01 + DRB1*11:02 |
Q15 |
DQA1*02:01 + DQB1*03:03 |
P24 |
DPA1*02:01 + DPB1*14:01 |
R23 |
DRA1*01:01 + DRB1*11:03 |
Q16 |
DQA1*03:03 + DQB1*03:03 |
P25 |
DPA1*02:01 + DPB1*15:01 |
R24 |
DRA1*01:01 + DRB1*11:04 |
|
|
P26 |
DPA1*02:01 + DPB1*17:01 |
各ペプチドには、T細胞エピトープであることが知られている陽性対照ペプチドとの相対スコアが与えられます。
また、参考情報として、中程度の既知のT細胞エピトープまたは特定のClass
IIアレルにおいてはαおよびβペアのβ鎖に対する既知のエピトープを中間対象ペプチドとして使用します。
スコアは対象ペプチドシグナルの陽性対照ペプチドシグナルに対するパーセンテージとして定量化されます。
第3ステップ:ProImmune REVEAL Class II速度論・安定性アッセイ
このアッセイでは結合および解離の速度定数またはHLA-ペプチド複合体の安定性を測定することが出来ます。
ProImmune REVEAL Class II速度論アッセイ
結合および解離の速度定数は個々のペプチドの結合において重要な速度論的特性です。
このアッセイは高親和性抗体と比較して対象となるHLAアレルに対しゆっくり結合する可能性がある中程度の親和性を持つペプチドにおいて、特に重要となります。
もし解離速度も同様に遅い場合、一度結合したペプチドは長時間にわたって結合状態を保つことになり、潜在的エピトープとしてさらなる評価を行うメリットがあります。
早い結合速度のみでは必ずしも良いエピトープを意味するとは限りません。
これは、早い結合速度を持つペプチドが同時に早い解離速度を持つ場合があり、この場合には良いエピトープとは言えないためです。
最終的なエピトープのバリデーションに使用できる細胞サンプルの量が限られている場合は、このプロセスに進める候補ペプチドの数を絞り込むためにも有用です。
速度論的アッセイは以下のClass IIアレルに関して実施可能です。
DR1 (DRB1*01:01), DR2 (DRB1*15:01), DR3 (DRB1*03:01), DR4
(DRB1*04:01), DR5 (DRB1*11:01), DR7 (DRB1*07:01).
ProImmune REVEAL Class II Quick Check安定性アッセイ
Quick Check安定性アッセイはDR,
DQおよびDPアレルのいずれに対しても実施可能です。
このアッセイは必ずHLA-ペプチド結合アッセイと同時にご用命ください。
安定性アッセイでは37
℃におけるペプチドのアレルへの結合量を開始時点と24時間後の2時点で測定することにより、HLA-ペプチド複合体の安定性に関する情報を得ることが出来ます。
ペプチドに対してstability
indexが計算され、異なるペプチド間での相対的安定性の比較が可能です。
HLA-ペプチド結合アッセイでは複合体の安定性よりも結合速度が大きい影響を与えます。
HLA-ペプチド結合アッセイの結果と安定性アッセイの結果を総合的に解釈することで、ペプチドが「良い」T細胞エピトープとなるのに十分な時間提示される可能性についてより完全な情報を得ることができます。
指数を用いることで、アレルへの結合を異なるペプチド間で比較することが可能となります。
結果を候補ペプチドの優先順位付けに利用することにより、細胞機能性アッセイに進めるペプチドの数を減らすことによるコスト削減や細胞資源や時間の節減にもつながります。