自己抗体のスクリーニング

PEPperCHIP™ 自己エピトームマイクロアレイ2.0を用い、1型糖尿病患者血清中の自己抗体のスクリーニングを行った例をご紹介しております。



自己エピトープマイクロアレイ2.0を用いた自己抗体スクリーニング

PEPperCHIP™ 自己エピトームマイクロアレイ2.0を用い、1型糖尿病患者血清中の自己抗体のスクリーニングが実施されました。

最も強いIgGとの反応はヒトヘルペスウイルス4型EBNA-1タンパク質に対応する複数のエピトープやヒトコクサッキーウイルスA9およびヒトポリオウイルス3型のエピトープで観測されました。

コクサッキーウイルスとポリオウイルスのエピトープ間の配列類似等のデータから、主たる反応はポリオウイルスワクチンによって引き起こされたKEVPALTAVETGATに対する反応であり、コクサッキーウイルスエピトープに対する反応は交差反応性に起因するものであるとされました。

ヒト由来のタンパク質抗原に由来するエピトープとしては、Calreticulin前駆体に由来するエピトープKIKDPDASKPやIA-2としても知られるタンパク質チロシンキナーゼに由来するLGPEGAHGDTTFEYQDLが強くIgGと反応することが観測されました。

IA-2は1型糖尿病の自己抗原であることが報告されており、LGPEGAHGDTTFEYQDLに対する抗体の反応は、患者の状態をよく反映しています。KIKDPDASKPに対する反応は、systemic lupusまたはシェーグレン症候群に起因すると考えられました。

同じ血清に対するIgM抗体プロファイルはより早期の免疫応答に対応しています。蛍光シグナル強度はIgGと比較して弱いものの、反応パターンはより複雑です。これはIgMの交差反応性に起因すると考えられました。IgGと同様、IgMにおいてもEBNA-1に対する抗体の反応が見られました。

しかしながら反応パターンはIgGの場合と重複が少なく、新たにヒトヘルペスウイルス4型に対する免疫応答が生じたことを暗示しています。

ヒト抗原に対する反応は、インテグリンβ-3前駆体(APESIEFPVSEARVLE)、Trinucleotide repeat containing 6A(PGNRPTGWEEEEDVE)、High mobility group protein B1(DAAKKGVVKAEKSKKKK) およびヒストンH1b (KLNKKAASGEAKPKAK, AAKPKTAKPKAAKPKK)のエピトープに対して観測されました。

Immune Epitope Database を参照すると、これらのエピトープはやはりsystemic lupusまたはシェーグレン症候群に起因していると考えられました。IgGのKIKDPDASKPに対する反応を考慮すると、IgMの反応は上記2種類のどちらかの疾病を示唆していると考えられました。