新規自己免疫疾患バイオマーカー探索
SSc(全身性強皮症:Systemic
sclerosis)は複雑で全身の臓器に病変が及ぶ膠原病の1種です。SScの診断には臨床的所見と自己抗体の検出が併用されていますが、従来の方法で使用されている自己抗体は60~70%の患者でしか検出されていませんでした。
Protagen社では同社独自のSeroTag™技術を活用し、複数のKDM6B(Lysine(K)-Specific
Demethylase 6B)等の原を同定しました。
KDM6Bに対する自己抗体のキャラクタリゼーションを行うため、PEPperCHIP™マイクロアレイを利用したエピトープマッピングが実施されました。比較対象として、以前から同定されているCENPA(centromere
protein
A)特異的抗体に関するN末端PRRRSエピトープのマッピングも実施されました。
エピトープマッピングは15アミノ酸残基(1アミノ酸残基オフセット)のオーバーラッピングペプチドを用いて実施されました。健常人(HC)およびSScドナー3人(SSc1、SSc2およびSSc3)の血清を用いて実施した結果が下に示されています。患者血清ではCENPAおよびKDM6B由来エピトープのどちらに対しても強い反応を示し、良いS/N比が得られました。
CENPA由来のエピトープを用いたエピトープマッピングではSPSPTPTPGPSRおよびGPSRRGPSLGASが全てのSSc血清に対して反応することが観察されました。また、第3のエピトープTPTPGPSRRGPSの存在が示唆されました。
従来報告されていたN末端PRRRSエピトープの他、少なくとも2種類の隣接するエピトープが同定されましたが、これは1アミノ酸残基オフセットによる高分解能エピトープマッピングによる効果と考えられました。
KDM6B由来のエピトープを用いたエピトープマッピングではLPAPLPPSHGSSが共通のエピトープとして同定されました。SSc1およびSSc2では2番目のエピトープSPQPSASSSSQFが同定されました。また、他にも単一のサンプルでのみ同定されたREKLNPPTPSIYLやSSQFSTSGGPWARといったエピトープが複数存在しました。
予想通り、健常人由来のHCではCENPAおよびKDM6Bのどちらに対しても反応が見られませんでした。