免疫学のためのツール

ビオチン化試薬

アビジン-ビオチン相互作用の高い親和性および特異性は、免疫学、組織化学やアフィニティークロマトグラフィーなど数多くの用途に利用されてきました。

ビオチン化は、そのままでは検出が難しい分子を標識されたビオチン結合タンパク質またはアフィニティー結合マトリックスと結合可能にすることによってバイオプローブに変換するための一般的な技術です。

抗体をビオチン化試薬を用いて”タグ付け”し、細胞または組織に含まれる抗原やハプテンを検出するために使用することも可能です。


表.1 ビオチン化試薬関連製品リスト

PEG2550およびPEG2555は、特に血清サンプルを使用するin vivo検査に最適なビオチニダーゼ耐性で、アミンに対する反応性を持つビオチンPEG化試薬です。

ビオチニダーゼは血漿中に遍在し、血漿中の生体物質の分析の際にビオチンを解離させ、検出系に干渉するおそれがあります。

サルコシンおよび2-アミノ酪酸をスペーサーとして用いることで、アビジンおよびストレプトアビジンへの結合能と結合速度を維持しながらもこの分解反応に対して耐性を持たせることが可能です。


ビオチン-dPEG™試薬

PEGは、エチレングリコールの繰り返し単位からなる分子であり、段階的な重合反応を経て合成されます。

従来の重合技術により合成されるPEGは多分散、もしくは最も成功した場合でも「単分散の高分子の混合物」ですが、dPEGTMは既定の長さを持つ真の単一種類の分子です。

これらの低分子量で親水性を示し、免疫原性を示さない試薬は、重要な数々のアプリケーションに対して有望であることが示されています。

PEGは、タンパク質の溶解性、安定性、および凝集防止性を劇的に改善し、多くの点においてELISA、IHCアッセイ、および製剤のプロセスやアウトプットを改善することができます。


タンパク質のビオチン複合体には、凝集および抗原に対する結合能の低下が見られるものが存在することが知られています。

タンパク質 - ビオチン-IgGの複合体もまた、凝集および沈殿する傾向があり、このことがアッセイを複雑にし、再現性を失ったり、誤った結果が得られてしまう原因ともなります。

これに対してdPEG™リンカーを使用するビオチン化IgGは、凝集を抑え、抗原への親和性を失わず、水に可溶です。


ビオチン標識抗体の略図
図.1 ビオチン標識抗体の略図
ビオチン-LCとビオチン-dPEGTMでそれぞれ標識した抗体の比較
図.2 ビオチン-LCとビオチン-dPEGTMでそれぞれ標識した抗体の比較

ビオチン-LCとビオチン-dPEGTMでそれぞれ標識した抗体の比較

(A) ビオチン標識抗体の略図を示しています: 古典的な脂肪族LCリンカーは、ビオチン部分が非常に近接した疎水性表面を形成しますが、反対にdPEGTM(12)リンカーは、ビオチン部分と親水性の「滑りやすい」表面を形成し、相互作用のためのスペースが増加します。

(B) 0.9 nmolのビオチンLC- GAR抗体(左のチューブ)およびビオチンdPEGTM(12) - GAR抗体(右のチューブ)それぞれと3 nmolのストレプトアビジンを混合すると、差は瞭然です。dPEGTMスペーサーを含む複合体は完全溶解している一方で、LC- GARを含む複合体は沈殿するという結果が得られました。


ビオチン-dPEG-NHS試薬としては、以下のようなものをご用意しております。


表.2 ビオチン-dPEG-NHS試薬関連製品リスト

PEG1845は、ビオチニダーゼ耐性を持つ2-アミノ酪酸スペーサーとdPEGTMリンカーの利点を兼ね備えた試薬で、ビオチンとストレプトアビジン複合体を形成するのに最適です。

末端カルボニルへのアミドから鎖長は19.2Åで、ストレプトアビジンの結合ポケットに最適な長さです。

また、同じ目的でよく使用されるLC- LCスペーサーと同じ長さを持ち、LC- LCスペーサーが有していた望ましくない疎水性凝集リスクを回避する働きもあります。

このビオチニダーゼ耐性を持つアミン反応性ビオチン化試薬は、血清が使用されているin vivo実験または臨床分析に特に適しています。


表.3 ビオチン-PEG-SS-NHS

ビオチン-PEG-SS-NHS は一次抗体の標識に有用な試薬です。

細胞溶解液のようなサンプルに対し、ビオチン標識した抗体を加えることで抗原に対し結合し、生成する抗原-抗体複合体は、固定化されたストレプトアビジンと相互作用しサンプルから容易に分離できます。

スペーサーアームに含まれるSS 結合はジチオトレイトール(DTT)などの還元剤によって分解できるため、抗原-抗体の複合体をストレプトアビジンの相互作用を破壊するよりも温和な条件で溶出すことができます。


ビオチン- / ストレプトアビジン - ペルオキシダーゼコンジュゲート

すでに抗体 - ビオチン複合体の例で示されているように、 dPEGTM(12) リンカーはBiotin-ストレプトアビジン - レポーター酵素複合体の性能も向上させます。

さらに、西洋ワサビペルオキシダーゼとの複合体はqSPと呼ばれるより安定したペルオキシダーゼとなり、現在主としてアルカリホスファターゼが検出に使用されている高速ブロッティング製品、例えばI-Blot™に使用可能です。


表.4 ビオチン- / ストレプトアビジン - ペルオキシダーゼコンジュゲート関連製品リスト

dPEG™の技術を用いた二次抗体

前述のように、 dPEG™リンカー技術は、従来の免疫学的手法に比べ、S/N比や非特異的結合の低減などといった様々な利点が存在します。

標識されたdPEG™を結合した二次抗体のコンジュゲートを使用すれば、二次抗体の標識化をご自身で行う必要はありません。

dPEG™を用いた二次抗体製品は新たな標準となりうる製品として、取り扱いやすく、高パフォーマンスのタンパク質ベースのアッセイを実現します。

ビオチン-抗体コンジュゲート

ビオチン-抗体コンジュゲート
図.3 ビオチン-抗体コンジュゲート

表.5 ビオチン-抗体コンジュゲート関連製品リスト

抗体-ペルオキシダーゼコンジュゲート

dPEG技術を用いた二次抗体製品は、西洋わさびペルオキシダーゼおよび安定なペルオキダーゼであるqSPとのコンジュゲートとして販売しております。

表.6 抗体-ペルオキシダーゼコンジュゲート